第二話

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第二話

あれ?課長の家の方だ。 車から見る風景は、よく来た課長の家の前を通り過ぎた。 そうか、確か実家がそばだって言っていたな。 お昼近くになってしまった。 「何ここ?」 「ラブホ、お城のほうがいいか」 「ハー?」 「プークッププ、正真正銘、俺ん家」 「うっそー!」 でかい、本当にお城だ。 「お待ちしておりました」 キャー、本物の執事、写メとりたい―。 「写メとりたいって思ったろ」 「萌です~」 「だーめ」 「今日は、暖かいので、こちらでお待ちいただけますか?」 「すごいお庭」 笑い声?男の子? 「誰かいるみたいだな」 彼はそっちに向かって歩いていく。そのあとをひょこひょことついていく。 「ねえ、行っていいの?」 近づいていくとはっきりとした声になる。 「だってーさー」 「誰だって留学だって思うよな」 「ハハハ、ざま―見ろ、あ、兄さん、亜矢ちゃ~ん、ねえ、怪我は。何処もいたくない?」 そこには、アメリカに行っているはずの典道くん、そして笑っているのは東雲課長の息子さんたち。 「いろいろご迷惑をおかけしました」 「ほんとだよ、夜中にたたき起こされてさ、典道くんの電話番号は知らないか?だろ何言ってんだおやじは、夢でも見てんじゃねって、もう大変でした」 「ありがと―」 「これで借りはなしだね」 「うん、感謝します」 三人には本当に世話になった。 「にぎやかだな」 そこに現れた老紳士、え?似てる。 「祖父だ、父の方の」 え?でも苗字が。 「は、初めまして」 「よかった、大した怪我もなくて」 彼は井上広重さんと名乗った。北条の名前は捨てたんですよと言う人。 ふーん。 「恐れ入ります、その節は大変ありがとうございました」 「いや、大事な、嫁に頼られて私もうれしいよ、亜矢さん」 キュン、超萌です。 「お前、ジジイにまで萌えてるのか?」 「いいです、このシュチ、最高ですー」 「ダメだからな」 「何が?」 「ジジイと二股なんて嫌だからな」 「まさかー?」 「何、私も再婚を考えてもいいのか?」 「いいわけねーだろう、くそジジイ」 「すみません、こんなんで」 「こんなんで・・・ははは、こんなのか?」 「あ、やべ」 舌を出し、みんなに笑われてしまった。 その後、お兄さんも合流して昼食会となった。子供たちの声だけで楽しくて、おじい様も笑っている、なんかあの時のあれはなんだったんだろうと思ってしまっていた。 山梨の、ホテルの事を思い出した。 反対だー? 「何が?」 「ん?何でもないよ、美味しいね、今度挑戦してみようかな」 「ナイフとフォーク?やめた方がいいよ、オヤジなんか、箸じゃなきゃ無理ですから」 「そうかな、課長、似合うのに・・・」 「似合わね」 「無理無理」 「来年は部長だよな」 「社長さんそれほんと?」 「本当ですか?」 「ここだけな」 「やった-!」 「やりー!」みんなでハイタッチしたよ。
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