第三話

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彼は井上の遺産がほしかったのか、ただ単に娘さんがほしかったのか、何故、そんな真似をしたのかはわからない。 正義の後妻に入った久子は二人に冷たく当たり家から追い出すように仕向け始めた。 それは曾祖父が亡くなったことによる遺言、代々男子には典の文字がつけられる、和典、忠典は死んだ曾祖父がつけたもの。その意図を知っているのはこの世には誰もいない。だから相続の時大変なことが起きた。これで、正義は正式な子供でないということがわかり、遺産は和典さんと忠典さんにわたることになったからだ。 さあ怒ったのは、久子たちだ、それを知らない正義もまた、北条への恨みを募らせていく。 おじい様はこれ幸いと二人を引き取った。子供たちまで殺されてなるものかと思ってね。 だがそれだけで済むことではなかった。 彼たちのいとこが今度はあいつらの手にかかったのだ。 北山の親戚、かおりさんは、和典さんと忠典さんを育ててくれた人だった、死んだ母親にそっくりな彼女は北条の毒牙にかかってしまった。 北条の男たちに辱めをうけたかおりさんはおなかが大きくなり始める。 死のうとした彼女を受け入れたのは病気を克服したおじい様で生まれて来たのが三男典道君、そして彼女はとうとう命を落としてしまう。 お母さんの死の真相はもしかしてこれかもしれないというものがあったの、それは麻薬なんかの薬、ただそれを調べるすべはなかった。それは智子さんも、かおりさんも死因は心臓発作で、亡くなった、調べる間もなく彼女たちは焼かれてしまった。 かおりさんは、正義の息子の愛人という形にされた。 それも当時まだ十代だった末っ子、正男。久子もまた子供は女ばかりで、それでもやっとできた男は、久子も認めた、ほかの女に作らせた子供だというのがわかっているそうだ。
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