第十四話 リンゴとル・ラータ

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第十四話 リンゴとル・ラータ

おい、聞いたか、また出たんだとよ。 何の話だ? ル・ラータだよでっけー鼠の絵を描き残す。 怪盗だろ?今度は何を盗んだんだ? それがな? うん、うんとみんなが顔を近づけます。 「ナムーの実だっていうんだ」 ナムー? そんなの今じゃ何処でも売ってるじゃないか? ちょっと聞け、俺たちは喰うのは赤い実で熟したものだ、医者いらずだから、そのままか、すりおろして喰うだろ? 後はせいぜい煮た物を食べるかだな。 だから、木になっている物を食べる分だけ売りに来る、そうだろ? まあそうだろうね? 重そうに真っ赤な身を付けてるよな。 「それが一夜にして数十本ある木の実がごっそり無くなったんだと」 は? そんなのウソに決まってる。 無理無理、一個が結構大きいんだよ、消えるなんてありえない。 でもよー、ゼウルスの農園を調べているらしいぞ。 ナムーの実なんか取ってどうするんだろうな? ル・ラータってよ変なものばかり取るんだろ? 前は酒だと聞いたな? ああ、酒屋と貴族のところだろ? ペステルートの火事、あれもそうらしいな。 火事?何を盗んだんだ? 焼けた布だと聞いたな? 焼けた?そりゃあへんだな? もっと変なのもあるぞ? 何だよ? 麦の茎だけとか、稲のみの付いていないほうだとか。 何するんだ? さあ? デモさ、酒はあれだろ?ほら、殴られたのがその辺を歩いてたものだろ? ああ、絡んで襲われたって聞いたな。 酒屋は子供だってな。 ル・ラータは仇を取ったんだと言うが今度も何かあったのかい? ゼウルスが使っていた下働きの連中さ、ひどい扱いを受けてたみたいだな。 じゃあそいつらがナムーを取ったんじゃないのか? それがゼウルスは、そいつらを一つの部屋に閉じ込めて、見張っていたからできなかったというんだ。 見張っていた? 何でも、ル・ラータは盗みに入る事を予告していたみたいだな。 予告? 大事なものを取りに伺いますと書いたものがあったらしいぞ。 「でもよ、ナムーの実が盗まれたんならそっちを見張っていればいいんじゃないのか?」 そうだな? おかしいな? なんだか皆さん考えているみたいです。 ナムーとはリンゴです。リンゴだよね、うん確かにリンゴ。 「ニュースペーパーはいらんかね、ゼウルスが捕まった!殺人と暴行罪だ、ル・ラータがまたやってくれたよー。ゼウルスの屋敷のそばからごろごろと骨が出たんだとさ!ゼウルスが殺人と暴行罪で捕まったー!詳しい話はニュースペーパーを見てくれ!」 と言ってかけていく子供をみんなが見ていました。 「さすがル・ラータだ、悪いことをしているのが襲われて当然さ」 そうだな。 なんて言う街のおしゃべりを聞いていたのでした。 「ふん、どうだ」とふんぞり返る王子です。 「はいはい、偉い、偉い」 私が買い物を終えるのを待っていました。 「今日は楽しみだ」 「あればね?」 「どういうことだ?」 「チビたちに食べられてないことを祈りなさい」 「ウワー、そうだ、早く行こう、早くー」 「引っ張らないの、もう、疲れてるんだからー」 帰って彼に出したのはアップルパイ。 お菓子なんてほとんどない世界なので、私が作るものはそりゃあ、喜ばれたよ。
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