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「スッスッ ハァッハァッ」
「スッスッ ハァッハァッ」
二回吸って、二回吐く。
この規則正しいリズムで、雨上がりの早朝の街を駆ける。
いつものルーティーンだ。
早起きして、ランニングをして、熱いシャワーを浴びて、シリアルとスムージーの朝食を摂り仕事に向かう。
なんて、今どきのできる女気取りのキャリア女子みたい事をしているわけではない。
むしろその逆だ。
午前5時まで一人営業のカウンターバーのママ、いわゆる水商売の女である。
名前は静流、もちろん仕事用の名前だ。
仕事を終え、ドレスからランニングウェアに着替え、財布、携帯電話などをランニングリュックに入れて早朝の街を走る。
お酒?
ええ、私は仕事中は飲まない主義。
VIP専用の会員制の店『静かな海』は大事な商談や接待なんかにも使われる秘密の社交場、大人の隠れ家的な店である。
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