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3. ごめんね
あの事件の翌日。私たちは静寂に包まれた公園にいた。
「本当にごめんなさい。」
エマは涙ながらに私に謝った。
「本当は私を殺すつもりじゃなかったんでしょ、わかってる。」
私は静かにそう呟いた。
「あのね、アンナ。」
「うん。」
「今朝、スパイを辞めたんだ。メリディスとの関係も全て断ち切った。父も…実はスパイで、私も無理やりスパイにさせられてたの。でも私、はじめからスパイになんてなりたくなかった。とはいえ、それが我が家の伝統で…逆らうことはできなかったの。スパイになった後も、嫌で嫌で仕方なかった。でも、一応言わせて。殺人のミッションは昨日が初めてだったの。それも、もちろん私はやりたくなかったけど――。私のボス、ううん違う。 あのくそ男が私に命じたの。なんでそんなことをしなければならないのか、教えてはくれなかった。あいつはただ私に命令した。
でも、そのせいで、私があのときもっと反抗できなかったから、もしかしたらアンナの命が脅かされていたかもしれなかったこと、本当に申し訳ないと思ってる。」
エマは床を見つめて泣いていた。スカートに、いくつかシミができていた。
本当に何も知らないようだった。
「うん、大丈夫。気にしないで。」
本心だ。
「友達に戻ってほしいとは言わないけど...どうか私を嫌いにならないでほしい…」
「あれ、今も友達だと思ってた。」
「えっ...許してくれるの?」
エマは頭を上げた。
「私たちが出会ってから、友達ではなくなったことなんて一度もないよ。」
「わたしっ…エマが許してくれない…かと…」
何度か言葉を発した後、エマはまた泣き出してしまった。そんなエマを、私は思いっきり抱き絞めた。
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