3. ごめんね

1/1
前へ
/5ページ
次へ

3. ごめんね

あの事件の翌日。私たちは静寂に包まれた公園にいた。 「本当にごめんなさい。」 エマは涙ながらに私に謝った。 「本当は私を殺すつもりじゃなかったんでしょ、わかってる。」 私は静かにそう呟いた。 「あのね、アンナ。」 「うん。」 「今朝、スパイを辞めたんだ。メリディスとの関係も全て断ち切った。父も…実はスパイで、私も無理やりスパイにさせられてたの。でも私、はじめからスパイになんてなりたくなかった。とはいえ、それが我が家の伝統で…逆らうことはできなかったの。スパイになった後も、嫌で嫌で仕方なかった。でも、一応言わせて。殺人のミッションは昨日が初めてだったの。それも、もちろん私はやりたくなかったけど――。私のボス、ううん違う。 あのくそ男が私に命じたの。なんでそんなことをしなければならないのか、教えてはくれなかった。あいつはただ私に命令した。 でも、そのせいで、私があのときもっと反抗できなかったから、もしかしたらアンナの命が脅かされていたかもしれなかったこと、本当に申し訳ないと思ってる。」 エマは床を見つめて泣いていた。スカートに、いくつかシミができていた。 本当に何も知らないようだった。 「うん、大丈夫。気にしないで。」 本心だ。 「友達に戻ってほしいとは言わないけど...どうか私を嫌いにならないでほしい…」 「あれ、今友達だと思ってた。」 「えっ...許してくれるの?」 エマは頭を上げた。 「私たちが出会ってから、友達ではなくなったことなんて一度もないよ。」 「わたしっ…エマが許してくれない…かと…」 何度か言葉を発した後、エマはまた泣き出してしまった。そんなエマを、私は思いっきり抱き
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加