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踵を返し、曲がって来た道を戻ろうとした時、十字路の右側にあたる道の方から大きな影が伸びていることに気付いた。
この影……、人間にしてはデカいし、車にしても高さがありすぎる。
熊?
ははっ、まさかな。
ここはそこまで田舎じゃない。
俺は少しだけ後ずさり、曲がり角の先が見える位置に立った。
ほんの2、3メール先に、体長5メートルほどの巨大な猫のようなものがいた。
ひぃっ!と声にならない声をあげ、俺は腰を抜かしそうになりながらも、それに背を向けて走り出した。
何だあれは!?虎か!?虎は子供と行った動物園で檻越しに見た事があるが、あそこまでデカくはなかったはずだ。種類によって大きさが違うのか!?もしかしたらチーター!?ピューマかもしれない。それよりはなぜここに猛獣が!?海外でライオンが逃げ出したってニュースを見た事がある!きっとそれだ!日本の動物園から虎が逃げたしたんだ!
逃げる事が最優先のはずなのに、猛獣がこの町にいる理由を頭の中で必死に巡らせながら、一度も振り向くもなく俺は走る。
誰か……、誰か!
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