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後頭部に激しい痛みを感じた瞬間、俺の視界は天井を向いていた。どうやら床に倒れたらしい。彼女が俺を見下ろした。声を出そうしたが朦朧として動くことも出来なかった。すると俺を覗き込む、もうひとつの顔があらわれた。それは彼女とそっくりな顔だった。錯覚かと思ったが、一カ所違うところがあった。目の下にあるホクロだ。
「こいつで間違いない?」
「うん」
なんのことだと思いながら、俺の意識は落ちた。
*****
俺はベルトを握る手に力を込めた。片手で持ち上げると、ベルトが首に巻き付いた女の抵抗が弱まる。女の意識が飛ばないように調整しながら、その体に解き放った衝動をぶつけた。
快感に支配された俺の目には、涙を流した女の目が映っていた。女の目。その下にあるホクロが。
――これは記憶か? 夢か?
「ぷっは」
急に息苦しくなった俺は、息をすると同時に目を覚ました。
体が軽く感じられた。それなのに、どうにも体に力が入らなかった。どうやら俺はずぶ濡れのようだった。首も手足も何かに固定されているようだ。
「気が付いた?」
うっすらと開いた視界に、洗面器を持った女が俺を覗き込んでいた。俺は頭から水を浴びせられ、息苦しさで目覚めたようだ。
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