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「本日のゲストは、女優の吉岡さつきさんです。」
「こんにちは、吉岡さつきです。」
私は、テレビカメラに向かってにっこりと微笑んだ。
「吉岡さんは、最近、アンドロイド脳移植手術を受けられたんですよね。」
「はい、その通りです。
いかがですか?」
「はい、とても素敵です!」
「これは、私が23歳の時の姿を再現したアンドロイド体です。」
私は、頼まれもしないのに、立ち上がって、その場でターンした。
この素晴らしい体を、視聴者にも見てもらいたくてたまらなかったからだ。
きっと、今、テレビの向こう側で、視聴者たちはびっくりしていることだろう。
私のこの美しい姿に、見惚れているはず…
この手術を受けた人はまだそれほどいない。
受けたのは、余命宣告をされたり、不治の病にかかっているお金持ちがほとんどみたいだ。
そう、この手術はそう簡単には受けられない。
私だって、財産のすべてを注ぎ込んだと言っても過言ではない。
そのくらい、アンドロイド脳移植手術にはお金がかかるのだ。
まず、アンドロイド体を作るのに多額のお金がかかる。
私は、23歳の頃の私の姿にしてもらったけれど、まるで違うようにも出来るし、性別を変えることさえ出来る。
そして、本来の体から脳を取り出し、アンドロイドに移植する。
アンドロイドの体を作り、脳を移植してその体に馴染むまでに、約5年の時間がかかった。
だけど、どれほど時間がかかろうと、どれほどお金がかかろうと、私は絶対にこの手術を受けたかったのだ。
私はどうしても女優として、もう一度、輝きたかったから…!
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