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いや違う。
俺にとってはあそこで話しかけないという選択肢があった。
でも、俺はしずくに話しかけた。
ただ、その美しさや儚さや弱さが惹かれたんだ。
誰もが綺麗だと思う全部を、
誰もが綺麗だと思い遠巻きに見るそれを、
俺は手に入れたいって思ったんだ。
「しずくは嫌われてなんかない」
「それは嘘だよ」
「だって、少なくとも俺は好きだから」
俺はこんな事実を見せられて、そんなことよく言えたと思ってる。
でも、やっぱりそんな彼女の全てが手に入れたくなってしまったから。
「本当…?」
「本当だよ」
変わるかもしれない。
でも、今は本当。
これは偶然だとかそんなものじゃない。
彼女が操作してきた運命なんだ。
その上でずっと俺は歩いてきた。
外れることだって何回だってできたのに。
でも、俺は…。
「しずくのこと愛してるよ。誰よりも愛してる。」
好きになってしまったから。
これだけは変えられない運命だから。
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