運命の出会い

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結果はダメだった。 その後紆余曲折あって、中小企業に就職した。 いつもヨレヨレ状態の俺。 もちろん一人暮らしだから誰も迎えてくれない。 そんな時、賑わった夜の大通りを歩いていると、かつての同級生を見つけた。 「雨宮、だよな?」 中学生の頃、美人と言われるこの立ち姿を忘れるわけがない。 隣の席になった時はどれほどはしゃいだか。 彼女はいつだって男子生徒の夢みたいなものだった。 「富田くん?」 自分の名前を覚えてくれていることに嬉しさと驚きを感じる。 「ひ、久しぶり」 そんな言葉しか紡げない。 彼女には美しさと麗しさとかそういう圧がある。 「うん。久しぶり。」 笑顔になる彼女。 俺の心の中は狂喜乱舞になっていた。 「あー、晩飯まだ?」 「うん。富田くんは?」 「俺もまだなんだよね。だから、一緒に食べに行かない?」 「いいね」 彼女の動きひとつひとつが目に止まる。 スラリとした指に、まるで宝石のような瞳。 絹のようなツヤがある髪と、誰もが褒め称える容貌。 全てを手に入れたくなる。 「雨宮は何食べたい?」 「富田くんの食べたいものでいいよ」 「え、でも…」 「遠慮しないで」 ニコニコの笑顔が俺の心を弾ませる。 中学生の時の俺が戻ってきたみたいだ。 「じゃあ、この店でいい?」 「うん」 大学の時の元カノとも行った店。 別にそんな思い出はない。 「いらっしゃいませ〜。二名様ですか?」 「はい」 「では、奥の席へどうぞ」 「空いててよかった」 「そうだね。富田くんはこのお店に来たことあるの?」 「まあ、一回だけ」 「そうなんだ」 注文をして、料理を待つ。 その時間の間も雨宮の仕草は目にとまる。 料理が運ばれてきて食べ始める。 二人ともパスタを頼んだ。 「おいしいね」 その言葉が心に沁みていく。 嬉しい。 初恋の人のこんな近くでこんな長い時間を過ごせるなんて。 自分は幸せ者だ。 店から出たら、雨宮を送った。 夢だったのだろうか。 でも、友達の欄に雨宮の名前がある。 これは夢じゃない。 現実だ。 神様は就職を失敗させた代わりに運命の出会いを用意してくれた。 その夜はスヤスヤとよく寝れた。
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