必然の物語

4/6
前へ
/14ページ
次へ
「ふぅ…」 ついに雨宮を誘うことを決心した。 来週の土曜、一緒にフランス芸術展に行かないかと誘う。 返信が早く来ないかジタバタする。 ヤベェ、めっちゃ緊張する! 『いいよ』 「よっしゃーーー!」 つい叫んでしまう。 ご近所から苦情が来ないか怯えながら、土曜の予定を組む。 絶対に楽しかったって言ってもらえるような日にするんだ! 頑張れ、俺! 〜〜〜 そして、当日。 俺は予定時刻の十分前には集合場所にいた。 心を落ち着かせる。 大丈夫。 今日のために俺は全てを完璧にしてきたんだから。 「富田くん。遅くなってごめんね。」 「雨宮」 私服、かわいいな。 いや、なんていうか、いつもよりオシャレだ。 俺のために…? それだったらすごく嬉しい。 「雨宮、すごいかわいいな」 「ありがとう」 「い、行くか」 「うん」 隣にこんな美人が並んでいる。 こんなこと昔なら想像できない。 それにすごく話しやすくて雰囲気もいい。 これはいけるのでは…。 「展示会って久しぶりに行ったよ」 モグっとパンケーキを食べる雨宮。 かわいいな。 「俺も雨宮とじゃなきゃ行ってなかったかも」 「そうなんだ。なんだか色々奢ってもらってごめんね。」 「別にいいよ」 だって、こんなに綺麗で素敵な姿を見られたんだから。 「あのさ」 「どうしたの?」 「雨宮は彼氏とかいんの?」 「いないよ」 そのことにすごい期待してしまう。 俺は雨宮の隣に立っていいのかもしれないって、 思ってしまう…。 「だったら、俺は…」 「もし、よかったら私と付き合わない?」 「ふぇ?」 「富田くん、素敵な人だしきっと私達いい関係が築けるよ」 「お、おう…」 「これからよろしくね」 いきなりすぎてよくわからない。 頭が追いつかない。 「よろしくな…」 その言葉がポロリとこぼれ落ちた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加