50.月の終演

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 もう、選んだのだから。迷う必要はない。  そっと瞳を瞼で隠して、舞台から降りる。  すれば華が嬉しそうに笑った気配がした。 「もうこれ以上、何も知ることはない」  たった一言、それで月は舞台から降ろされる。  たとえ、何かまだあったとしても、それは月の出番ではないと華が言う。  それだけで、月音は十分だった。  彼がいれば、生きていけるのだから。
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