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51.華と凪
「ゲームじゃねぇ! 遊びでもない! ましてやテメェのチンケな劇でもねぇ! お遊戯会なんぞ一人でやってろ! こちとら命かけてやってんだよッッ」
「お前の家は、いつもこんなに騒がしいのか? 俺が知っている凪之は凪という名にふさわしい穏やかさのある組織なんだが」
某所。
地上の光は届かず、悲鳴や嘆きは地上に届かぬ地下にて。
ようやく出入りしやすくなった泰華は、中へ入った。途端、後悔しかない。
冷たい地面に転がるゴミに頭が痛い。生きが良いのは構わないが、五月蠅すぎて頭が痛くなってきた。思わずため息をついて、軽く目頭あたりを揉んだ。
それを白けた目で誠司が一瞥した。
「自分の敷地内に入れたくないから、こっちを指定したのは誰だよ」
「うちに来たら、面倒ごとが増える。お前も都合がいいだろう」
さらっと真実を語れば、誠司は歯ぎしりをする。彼はこういうところが可愛らしい。表情豊かで羨ましい。
と、言えば「気色悪っっ」と自分の腕をさする。相も変わらず面白い反応をするものだ。だから彼の祖父は、思わずいじめたくなるのだろう。それも一種の愛情か。
(俺の家とは大違いだな)
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