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いつの間にか温度が戻った瞳は、とろけて月音を捉えた。蜜を纏った熱が流れ込んで、月音の体温が上がっていく。
甘さで溺れて窒息しそうだ。
くらくらと目眩がする月音を動かし、泰華は後ろから抱きしめ、包み込むようにソファへ座った。
顎を月音の肩に置いて、頬同士をくっつける。
いつになく密着するので顔が紅潮する。
恥ずかしさに身じろぎすれば、どこか楽しげな声が転がった。上機嫌らしい。
今日はやけに嬉しそうである。心なしから彼の体温も、頬も熱い気がする。
「携帯電話の使いかたは分かるか?」
「いえ、まったく」
未知なそれ。
下手にいじって壊さないか不安がつのる。そもそも高級品だろうに貰っていいのかすら疑問である。
「なら、簡単に説明しようか」
「とりあえず離れませんか」
「えっいやだ」
何を言っているのだ、と心外そうに腹に回された腕に力が込められる。ぐぇ、呻いたが彼は緩めない。
空いた手のほうで、すいすいと携帯電話を操作しつつ説明していった。耳元で話すのでくすぐったくて仕方ない。
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