サイバーパンク・プラネット

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…ってね。そういう、あれよ。  イメージ。夢だね。それだけよ。 ――そのあと二人は、どうなるの?  あたしの問いに、シルクはしずかに微笑んだ。自虐するように。あるいは何かを愉しむように。  さあね。どうなるんだろう。まあでも、きっと、何かがあるんだろうね。あるいは何も、ないのかも。そのあときっと朝がきて。二人はどこに、行けるのか。あるいはどこにも行けないか。それはあたしも知らないわ。それはあたしの、夢、だからね。淡い未来のありえない子供の夢のイメージよ。それだけ。  あはは。笑ったでしょう? あまりにも子供じみていたから? いいよ笑って。あたしも自分で、ときどき自分が笑えてくるから。  しかし。わたしは笑わない。  それは、彼女の言うところの―― 世界の底のこの場所で。  それはたしかに、輝くひとつの、夢の景色、なのかもしれないと。  わからない。わかりたい。でもいまわたしはそれを分析できない。  シルク、と。  温度の低いわたしの唇が、そこに言葉をつむぎだす。  ん? と。シルクがわずかに顔を上げる。乱れたパールホワイトの長い髪が。未明の暗がりの底で、わずかに光を放って見えていた。
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