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「あたしたちってさ、傍から見たら『バカップル』ってやつなんじゃない?」
「は? 何言ってんの? 百合ちゃん」
まったく意味がわからないないまま返した俺に、百合は食事の手を止めて答える。
「だってさぁ。三十代の、特に美男美女でもない二人が『康之くん』『百合ちゃん』って呼び合ってんのよ、外で。こんな素敵なレストランで」
「えーと、嫌だった? 『百合さん』て呼ぼうか?」
「……康之くんてなんかずれてるよね。学校では違うみたいだけど」
含み笑いする恋人に、俺は少し混乱する。
半月ぶりのデート。
同業者なので繁忙期も重なりやすく、お互いの事情もわかるので不満も特にない。
会える時に会って、気に入った店で食事して、まぁそれからどちらかの部屋に行って……ってスタイルが、もう何年も続いていた。
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