それぞれの夏休み

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二学期が始まった、明紀は、もう陸と並んで学校へ行くようになっていた。 「おはよう」途中で、いつもの様に、千景が合流する。 「おはよう千景、夏休みどうだった?」 「良い夏休みだったよ、明紀、始業式終わったら ちょっと付き合ってくれない?話したい事が有るの」 「良いわよ」と、言っていると 「皆、おはよう」「あ、迫田さん、おはよう」迫田も合流する。 「迫田、髪切ったのか?」陸は、直ぐに気付いて聞く。 「うん、暑いから」「その方が似合ってるな」「ほんと?」 迫田は、髪を切った事に、真っ先に気付いてくれ 褒めてくれた陸を見て、嬉しそうな顔になる。 『ほら、ほら、そんな所が、相手に勘違いさせる元なんだぞ。 な~んも気づいて無いだろうけど』明紀は、心の中でそう言った。 始業式も終わり「各クラスの委員長は、集まって下さい」と言う校内放送で 陸が、教室を出ると祐樹、慶介、太一が、千景を取り囲み 「なぁ八島、陸は、千景は、ただの友達だって言ったけど、ほんとか?」 と聞いた、周りに居た、クラスメイトは、一斉に千景の方を見る。 「ほんとよ、私と陸は、兄のバンド繫がりの、ただの友達だよ」 「え~~っ、てっきり二人は彼氏と彼女だと思ったのに」「本当なの?」 祐樹たち以外の皆が、そう言った。 「本当よ、だって私には、他に好きな人が居るんだもの」「えぇ~~っ」 「何だよ~~一瞬、それならって思ったのに」男の子たちは、がっくりし 女の子達は、千景と言う壁が無くなったと、騒めく。 学校帰りに、千景と明紀は、ファミレスに寄った。 その席で、千景は湊と付き合う事になったと、ニューヨークでの話しをした。 明紀は、驚いたが、自分より千景の方が、湊には合うかも知れないと思った。 私と違って、千景は家族から守られるだけの存在だ。 誰かを守ろうとしなくても良い、だから湊を受け入れたのだろう、そう思う。 「要らない事かも知れなかったけど、一応明紀には、報告しようと思って」 「そうだったの、私と湊さんは、まだ何も無い前に、別れる事になったけど 今は、それも良い思い出だと、思ってるんだ」 「ふ~ん、もしかしたら、明紀にも、良い人が出来た?」「まぁね」 「え~~っ誰、誰?」「うふふ、内緒」「えぇ~っ狡い~」 そう言いながら、千景は、明紀に話して良かったと、ほっとしていた。 明紀も、もう湊は、あんな悲しい目をしなくて良いんだと、喜んだ。 その後、湊と会った千景は「明紀ったら、良い人が出来たらしいのに 誰か教えてくれないのよ」と、不満を言うと 「陸君に決まってるじゃ無いか」と、湊は言う。 「ええっ、だって、あの二人は姉弟だよ」 「そう言って一緒に居るだけで、戸籍も違うんだろ?」 「うん、苗字は違うけど、姉弟だって言ってた」 「男同士だから、よく分かるけど、何度か会った陸君 明紀さんを、姉だなんて思っていない感が、バンバン出てたよ」 「ええっ、全然気づかなかった」陸の心を掴んでいる人を探しに 四国まで行ったのに、、居なかった訳だ。 「灯台下暗しって、奴だな」湊は、そう言った。 「本当にそうね、これからは、もっと足元を良く見ようっと」 「それ、もう良いんじゃない?俺がいるから」「確かに」二人は、笑い合う。
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