マジ?

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マジ?

「明紀、母さん、遼ちゃんと一緒に住む事にしたから」 喪服を片付けながら、そう言う母の麗美に 「ふ~ん」明紀は、気の無い返事をした後 「母さんが、遼ちゃんの所へ行くの?」と、聞いた。 「ううん、遼ちゃんが、ここへ来るの」「ここへ?」さすがに驚く。 遼ちゃんと言うのは、母が付き合っている、彼氏の事だ。 渋いイケメンで、優しくて、朗らかな男で、47歳だったが 麗美も明紀も、遼ちゃんと呼んでいた。 「事務所はどうするのよ」遼は、一級建築士で、自分の事務所を持っている。 「あそこ、狭いでしょ、だから、引き払うの」 「うちに来れば、もっと狭いじゃない」「だから、隣を買ったの」 「隣を?」隣は、空いたまま、なかなか売れなかった所だ。 「遼ちゃんが、隣に来れば、仕事帰りに、いちいち待ち合わせをする事なく いつでも一緒に居られるでしょ」「、、そうだね」 そうなれば、今でも仲良しすぎる二人なのに 更に、いちゃつくんだろうな~ま、私は、それでも良いけど、と思う。 「何よりも、ここを売った事で、私の今月のノルマも達成できたし」 麗美は、不動産会社で働いていて ここも、その不動産会社が手掛けている物件だった。 「良い事だらけでしょ、それに、遼ちゃんの子供も一緒だし」 「遼ちゃんの子供も、来るの?」確か、上の二人は独立してて あと一人は、四国の祖父の所に、預けていると言う話は、聞いた事が有る。 「うん、その爺ちゃんが死んじゃったからね~ 一人で置いとく訳にもいかないでしょ」 その葬儀に、出席して来たのかと、母の喪服の訳が分かった。 「陸ちゃんって言う、とっても明るくて、良い子なんだ」「へ~~」 「明紀、お姉ちゃんなんだから、仲良くしてやってね」「うん、、」 入籍はしていないだけで、二人は、結婚しているも同然な関係だった。 遼は、知人に会うと、明紀の事を「俺の娘だ」と、紹介する。 そして、何でも明紀の言う事は聞いてくれる。 あの遼ちゃんの子供なら、男の子でも、仲良くできるに違いない 明紀はそう思った。 そんな明紀は、16歳、高校一年生の夏休み、真っただ中だった。 「う~ん、宿題は、読書感想文を書けば、お終いだな」 そう思った時「明紀ちゃん、いるかい?」と、やって来たのは遼だった。 「何?」「ちょっと隣を、リノベーションするから、騒がしくなるけど」 「良いわよ、それが終わったら、いよいよ引っ越して来るのね」 「うん、麗美に聞いてるだろうけど、息子とも、仲良くしてくれよな」 「分かってるって、任せなさい」「お~っ、頼もしい、さすが明紀ちゃん」 遼は、そう言うと隣に行って、大工さんに何か指図をし始めた。
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