あの日

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あの日

 「あの日」から24年――。  私は、母子家庭だけど暖かい環境で育ち、無事に成人結婚し、一児の母となっていた。  夫はとても優しくて家事や育児に理解はある。協力もしてくれている。が、やはり、朝は戦場のようだ。 「ひまちゃん、起きて。保育園遅れちゃうよー。  パパ! 洗濯物お願い!」 「はーい。」 夫が洗濯物を干してくれている。その間に、保育園の支度を……。毎日のお着替えや何やらで、持ち物は結構多くなる。しかも、今日は月曜日。 「ひーまーちゃん! おーきーて! 起きないと……くすぐっちゃうぞー!」 「あーひゃひゃ、ママ、やーめーてー。ひゃひゃひゃ。」 日葵(ひまり)は、今、保育園の年長さんだ。 「ママ、今日帰ったら、粘土遊びね。」 「分かったから、早く朝ごはん食べよ。」 「はーい。」  こんな毎日が忙しくも愛おしくなる。 「もうすぐ、お義父(とう)さんの命日だね。」 「そうだね。」 「週末はお墓参りに行こうか。」 「うん、ありがとう。」 「お義母(かあ)さんのところにも寄って、  日葵(ひまり)のランドセル姿も見せてあげよう。  早いなぁ、日葵(ひまり)も一年生かぁ。」 「そうね。」  私は、言葉少なに答える。もうすぐ、父の命日。
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