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お花を供えて手を合わせる。目をつぶって、最後の陽貴さんへのメッセージを送った。
”ようやく高山さんに挨拶することが出来たね。私、ずっと後悔してた。髙山さんと初めての喧嘩で、心無いことをたくさん口にしてしまったこと。素直に悲しい、って言っていれば隣りにいることは出来なくても、永遠に失うことは無かったかもしれないから。もう、直接は言えないけど、最後に言わせてください。
髙山さん、酷いこと言ってごめんなさい。本当に大好きだったよ。
私はこれから、私と同じ高山さんを失った悲しみを抱えた大貴くんと一緒に生きていこうと思います。彼となら、辛いことは分け合って、楽しいことは共有していけると思うから。私達の心の中には一生髙山さんが居続けると思います。だから、天国から私達のことを見守っていてください“
私の言葉は彼に届いただろうか。届いているといいな。
お墓参りが終わって、家に戻ってきた。そろそろ帰ろうかと思っていたら、大貴くんが大きい荷物を持ってやって来た。
「優希乃さん、残りの休暇はずっと一緒にいてもいいかな。あ、もちろん仕事は優先してね。その間は外出してるから」
大貴くんは明後日の便で帰ると言っていた。私はどんな予定でも立てられるように明日までは仕事を休みにしていたから問題はないんだけど……
「明日は仕事入れてないから大丈夫なんだけど、もっとご家族と過ごさなくて大丈夫なの?」
私の問いに答えてくれたのはお母さんだった。
「うちは昨日一緒に過ごしたからもう十分よ。昨日お邪魔しちゃったし、残りの時間は2人で過ごしなさい。大貴、イタリアに戻ってもこまめに連絡は頂戴よ」
お母さんにそう言われてしまうと断る理由はなくなってしまったので、2人で家に帰ることとなった。
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