13.これからの人生

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「明日は1日自由に動けるんだけど、何かやりたいことある?」  帰りの道中、大貴くんにそう聞くと、すぐに答えは返ってきた。 「連日になっちゃって申し訳ないけど、明日もお墓参りに行きたいんだ」  また陽貴さんのお墓参り? と私が首を傾げると、大貴くんは首を横に振った。 「サクラのお墓参り。ちゃんとお別れできていないから、明日連れて行ってもらえるかな」  サクラは、火葬したあとペット用の霊園で供養してもらったことだけは伝えていた。 「そっか、そうだね。明日一緒に会いに行こう」  帰り際、私達はリストランテ・マキで夕食をとった。マキさんは私達が来た途端、満面の笑みで抱きついてきてくれて、奥の席に案内してくれた。さらにお祝いだからと言って、注文していないシャンパンまで出してくれた。 「お祝いって大貴くんの大会入賞ですか?」  私の問いにマキさんは笑いながら答えた。 「それもあるけど、大貴くんに素敵な『宝物』ができたお祝い。私本当に嬉しいの、2人がこうして一緒になったこと」  そう言って、次から次へとシャンパンを振る舞われ、帰る頃には私の足取りは多少怪しいものとなっていた。先に家に大貴くんの荷物おいてから来て良かった。私は大貴くんに支えられながらゆっくりと家まで帰った。
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