13.これからの人生

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 ああ、それなら、と私は棚の上に置いてある雑誌を手に取った。あ、だけど……確かにインタビュー記事は全部読んではいなかった。仕方なく正直に白状することにした。 「これ……ね、すっごく楽しみにしてて、発売されてすぐに買って読んでたんだけど、なんか途中で怖くなっちゃって、最後まで読めてないんだ」  怖いってどういう事? 訳が分からないと大貴くんは首を傾げている。 「大貴くんがこうして雑誌で特集されるくらい頑張っているのを見て、本当に自分が傍にいていいのかなって。……ってか今は物理的に傍にはいられないじゃない。このイタリアでの写真なんて、周りに可愛い女の子いっぱいいるし、なんか私彼女としての自信がなくなっちゃって」  呆れられたかな……でも私の不安を吹き飛ばすためにも笑い飛ばしてほしいな、なんて思っていたのに、大貴くんは私の頭に手を添えると、真顔のまま唇を重ねてきた。  あまりにも長い時間続けるから、流石に苦しくなってきたころ大貴くんはゆっくり顔を離した。 「ホント優希乃さんって自分に自信がないよね。僕がどんなに注目されても、周りに綺麗な女性がたくさんいたとしても、仮に言い寄られたとしても、そんなんで僕の気持ちが変わるわけ無いでしょ。もう少し僕のこと信じて欲しいんだけど」  呆れを通り越して怒らせてしまったらしく、「シャワー借りるね。僕がシャワー浴びてる間に最後まで記事に目を通しておいてよ」と言ってお風呂場へ行ってしまった。  大貴くんを傷つけちゃった……そんな反省をしながら、記事を頭から読み直す。イタリアでの生活をとても楽しそうに話している。そして、記者からの最後の質問で目が止まってしまった。
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