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古民家へ
退職と同時に早々、私は案内された古民家へ引っ越した。
引っ越しの手伝いまでしてくれた同僚とその友達にも感謝し足りない。
大家さん(意外と若い女性・年齢不詳)も親切で歓迎してくれた。
古民家、といってもまぁリフォームというのはあんまり期待したほどにはされていない(笑)
大家さん曰く、これから徐々になのよ~でもあまり完璧にリフォームしちゃったら家賃上がるからね、との事。
まぁ、洗面所が横に広いから二、三人は並んで洗顔できるってのがいいか。
お風呂とお手洗いは共同。
ある程度覚悟はしてました。意外にお手洗いだけは「超!」が付く綺麗な洋式なのでハナマルです。水回り大事。
しかも蓋が自動的に開閉するじゃないですか!会社のより凄いわ。
しっかし広いなぁ。
一部屋が広い。十畳?これで家賃がお安いのですからいいじゃないですか。
畳だって好きだし日当たりも悪くないし。
和室もこれはコレで悪くないよね~。
荷物なんて少ないので、ひとまず畳の上で大の字になってあぁ~とホッとしてたところに大家さんから呼ばれる声がした。
いよいよシェアハウスの同居人を紹介されるという。
失礼のないように、ちゃんとご挨拶しなくちゃ。
こういうのは最初が肝心だ。
ご対面~。
引き戸を開けようとする手袋をはめた細い指先がチラッと見えた。
緊張するな。私は頭を下げ過ぎなくらいに深々と頭を下げる。
「はじめまして。綾野芳ですっ。芳は草冠に方角の方って書きますっ。これからよろしくお願いします!」
……あれ?
すぐ出てくるもんだと思ったけどシーンとして無言で、なかなか出て来ない。
キッチンと居間を隔てる格子の入った曇りガラスの引き戸の向こうから、人の姿は見える。
スカート姿のシルエットみたいだから、聞いてた通り女の子ってのは分かる。
んん?なんだかモジモジしてるみたい?
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