初対面・ご挨拶

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初対面・ご挨拶

 えぇっと、もしかしてシャイな人のかな?  まぁ私もどっちかと言えばそうだけど。  大家さんがフォローを入れる。  「アラ~。ほらほら、そんな家政婦が見てますみたいなポーズ取る必要ないんだから、恥ずかしがらずに出ておいで。ごめんなさいねー。この子ちょっと事情があるんですよ。」  「はぁ。」  「まぁちょっと体が弱いっていうか、直接日に当たるのが肌にあまりよくない疾患があるの。だからその~なんていうか、昼間の明るい時にはあんまり出て来ない時も多いかもしれないけど、まぁ気にしないで自由に過ごしてね?」  「はぁ。そうですか。」  日に当たるのに支障がある?難しそうな病気だな。だからこの暑いのに手袋してるのかぁ。それも手伝ってシャイなのかな?  室内は日差しはあまり入らない日陰になっている。家は古いけど、冷房もしっかり効いていて涼しい。  「ほらほら、いつまでも隠れてないで。出てきて挨拶挨拶。」  遠慮がちに引き戸が少しずつ、黒い手袋で開けられる。  ストレートの長い髪。サングラス。  そして何より。顔にめっちゃ包帯巻いてる。どんだけ巻いてくるくる巻いて~?みたいな。さらにマスクをしている。ちょっとだけうつむき加減。  ちゃんと呼吸できるのかなって心配になるくらい。表情全然わからん。  まったくたじろぐことはなかった、と言えば嘘になるけど。  「ヨロシクお願いします…。こんな姿で失礼します。小さい夜の子って書いて小夜子(さよこ)っていいます。」  一歩間違えればホラー映画キャラになりそうだけど、これはセーフ。  声はアニメみたいに可愛らしい声だった。  そして長いスカートも黒地に可愛らしい小さな花柄模様。手足がすっごく華奢で細い。トップスは無地の七分袖、手は日よけのアームカバーと手袋、さらに足はこの暑い季節なのに、スカートの下には厚そうなレギンスに、そして更に分厚い靴下?蒸れないのかなぁ。  両手には小さな黒猫のぬいぐるみを持って落ち着かない様子。  これはモジモジしてるっぽいな。シャイなのはホントらしい。
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