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不思議な生活の始まり
小夜子ちゃんが素の正体で現したのが三次審査なのかというと、それは序章で、本編はこれからの同居生活なんだという。
んー?私は混乱しっぱなし。
「ごめんごめん、まぁあんたも色々あったらしいって聞いてるし、引っ越し初日で疲れてるっしょ、今日はとにかく休んで。ぐっすり寝てね~。」
眠れると思うのかこの尋常じゃない状況で。
そう思ったけど、私は気を失うように翌日昼近くまで眠ってしまった。
「あの~大家さん…」
「なぁに?」
あれは夢だったんだろうかと思いながら、私は最初の家賃を渡しつつ(敷金・礼金なしってのも飛びついた理由のひとつだ)、小夜子ちゃんの正体について聞いてみたら、意外な言葉が帰って来た。
「あらぁもうバレたのねー。まぁ、古い家だし何があっても不思議でもないかなっていうか。特に害があるわけじゃないし、むしろ私的には座敷童みたいなもんだと思ってる。」
座敷童とガイコツって。全然違うような気がするんですけど。
さらに驚愕の爆弾発言。
「ついでに言うと、うちの旦那もガイコツなの。だから見慣れてるんだー。」
なんですと??
「なぁんちゃって。キャハハ。冗談よー。」
大家さん…この人も変な人だ。もしかして小夜子ちゃんも冗談なんだろうか。
コレはあれか?「何があってもおかしくない」に柔軟に対応できるテストみたいなの?それが入居審査なのか?
「再就職先探すのも焦ってるみたいだけど。慌てて変なブラックに飛び込むより、まず疲れを癒して体調整えて、じっくり考えてもいいと思うよ。家賃はツケにしてもいいから~。」
「え。なんでそんなお優しい…」
「あんた顔色悪いもん。」
それは尋常ならざる状況に遭遇したせいでは。
「事情は聴いてる。感覚も麻痺してたんじゃないかな。ブラックで社畜で非正規雇用だったんでしょ。こっちもガイコツがまたひとり増えられてもねぇ。」
「麻痺?」
社畜とかブラックとか、疲労の自覚はあったけど。
「でも、家賃とかちゃんと払わなくちゃ。ツケなんて借金と同じだし、ちゃんとお支払いします。お安くして頂いてますし申し訳ないです。」
「出たよー。ここにも申し訳ない病~。」
その声は小夜子ちゃんだった。夢じゃなかった、あのガイコツ姿。
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