転校生は見世物じゃありません

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 窓からさしこむ朝日に身じろぎ、体を起こす。鳥のさえずりが新たな門出に備えるかのように朝空に溶けた。爽やかで、気持ちよくて、休日で…こんな素晴らしい朝に僕は……僕は……………寝不足に苛まれていた。 「…………全然寝れなかった………………。」  どうしてこんなにも情けない状態になっているのかと言えば、明海先輩からここがゲームの世界だとか、僕が当て馬だとか、僕が豊久のことを好きだとか…とにかく頭で処理しきれないほどの衝撃をくらわされたからである。  あぁ、もう!どうしよう?!また心臓がバクバクと高鳴る。昨日の会話が頭の中でグルグルと回っていた。 「僕が豊久のことを好き…??でも確かにそういう気持ちがないかと言われたら嘘になるけど付き合って恋人になりたいかって言われたら違うしそもそもそんなこと考えるなんて最低だし…なんか僕は豊久のこと好きって感じだけどなんて言うかえっと友達としか見れない僕もいて……!」  まともに休まっていない頭を考え事が巡るが結論は出ない。豊久を好きな気持ちは確かだが、恋愛対象じゃないような、恋愛対象なような………生活リズムが乱れてはしまうが、いっそもう一度寝ようかな。なんて考えているとノックもなしに部屋の扉が開け放たれる。 「おっはようございます」  髪をボサボサにしたまま現れたのは、言わずもがな同室の明海先輩だった。 「おは、おはようございます…?」 朦朧とした頭で挨拶を返せば、ニヤニヤとした企んだような笑顔が帰ってくる。 「綾小路くん、朝ごはん食べに行きませんか?」 「…ふぇ……?」
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