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「やっほー少年たち!今だけ代理の高良 尚先生だよ。1-3担任なんだけど…どっちがうちのクラスに来てくれる子かな?」
そう言って微笑みかけてくるイケメンは…長い金髪をゆるく結んで肩に流していて、白いスーツに赤いネクタイに黒いシャツを身にまとっている。こちらを見あげてくる瞳は群青色だ。
「ほす…ホスト…???」
「豊久ーっ!!し、死ぬなーっ!!」
ふらりと倒れかける豊久を受け止めつつ茶番をうつと、桜日先生が面白そうに乗ってくる。
「あーあ、高良が生徒殺した〜」
桜日先生がそう言いながら豊久を立たせる。高良先生に目を向けてみれば、心底嬉しそうな顔で桜日先生のことを見ていた。
「えーっ、俺のせい?」
ぷくっと頬をふくらませて、あざとさ満点の顔で桜日先生を見上げている高良先生は大変顔がいい、こわい。
「そうだよ、ていうか…だいたいなんで高良はそこに居るんだよ」
そんな高良先生に動揺もせず桜日先生は平然と腕を組んだ。
「酷い…明海ちゃんがマサくんに案内押し付けてきたって言うから、お昼ご飯も食べずに待ってたんだよ?」
「…明海の仕事を3倍にしておくか」
「ふふっ、僕に食ってかかってくる明海ちゃんが目に浮かぶなぁ…今年もあの子の担任したかったな」
どうやら…明海先輩は中々に教師と仲がいいみたいだった。微笑ましいななんて思っていると、ふと疑問が浮かぶ。
「関係ないんですけど、桜日先生の担当クラスってどこですか?あの、分からないこととか質問とか行きたくて…明海先輩に色々説明してもらったんですがやっぱり覚えきれなかったので」
「おー、いい心掛けだな!お前のクラスの担任だぞ、喜べ綾小路」
驚きつつも、少し安堵する。桜日先生なら少し知り合えたと言っても過言では無いはずだ、気後れせず話しかけれそう。
「え!?せんせー1組じゃないの?!学年主任なのに!?」
「今年は理事長の甥やら転校生やら生徒会やら……何故か2組に集められてるそうでな、理事長直々の任命だよ。」
「えっ、桜日せんせーってそんなに優秀なんすか」
先程よりは顔色がいいが、まだ調子が悪そうな顔でふざけるものなので普段の顔より少し新鮮で面白い。これを本人に言うのも無粋か……と、少し反省をした。
「ふふん、じゃなきゃ学年主任になんかなれないんだよ…ちなみに増えるのは責任だけだ」
「え…ブラック……」
「おいおい、給料はいいんだからな?っと…そろそろ寮室に行くんだな、イケメンな俺は忙しいから!」
「ふふ、そうだねぇ、あ、マサくん!あの件…ちゃんと検討してね?」
「…今する話じゃない、あと5年ぐらいは待っとけよ」
「酷いなぁ、マサくんモテモテなんだから、悪い条件じゃないのに〜…ま、いっか…はい!えーっと…近衛くんが801号室、綾小路くんが315号室ね?」
「えっ、8階ですか…3年生のフロア?」
「あれ?マサくん言ってたじゃない、どっちかが3年生と同室だーって。安心してね!強姦対策で2人とも同室は風紀委員なの。それもえらーいひとね?」
「わ、分かりました…ありがとうございます。」
「はぁーい!ホントならここは守衛さんがいるんだけどねーとってもいい子だから、ぜひ頼りにしてみて!かっこいい高良先生からのアドバイスだよ、頑張ってね!外部生たち。」
「あ、はい…ありがとうございました」
高良先生からのありがたいお話を聞いた後、すぐ横のエレベーターに乗り込む。
「結構部屋遠くなったね…豊久はどう、緊張してる?」
「うーん、そんなことは無いんだけどさ…エレベーターでちょっとさっきの吐き気が戻ってきてると言うか……うっぷ」
「え?!あ、ビニール袋ならある!!ほら…持ってって!」
「うっ、逆に吐けない…」
「えぇぇ〜!」
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