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仕事場についてからも気になる気持ちは消えず、その日は仕事に集中できずに終わった。
夜も7時を過ぎ、やっと時間になったとばかりに事件の近くに住んでいる友だちに電話をかけた。
何回かのコールの後にその友だちが出た。
「もしもし、今、大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。私も話したいと思っていたところ。」
私は話せることを確認して、すぐに本題に入った。
「今日、家の近くで事件があったみたいだけど、何があったかわかる?なんか気になっちゃって…」
「それ!私も話したいと思っていたこと。」
「えっ…何だった?」
「今日、家の近くに住んでいる人が道に倒れていたの。でも、事件とかでなくて心臓発作が起こってそのまま亡くなったみたい。」
「そうなんだ。心臓発作が原因だったんだ…」
「うん。私、今日思い出したんだけど…その亡くなった人、前にショッピングモールに行った時に国家プロジェクトの会場の私たちの前に並んでいたおばさんだった。」
「えっ、そ、そうなんだ。偶然だね。……って、そのこと話して大丈夫?」
「あっ、そうだった。でも、周りに人はいないし、話したのはその時一緒だった人だし、大丈夫だよ。でも、だからって無闇に話しちゃダメだよね!!」
『そうだね。何も知らない相手じゃないけど、なるべくしない方がいいよね。でもそうか。たまたま道で倒れていただけで、普通に病気で亡くなった人で何か事件があった訳じゃないんだ。』
「あーよかった。家の近くみたいだったし、何か事件で巻き込まれたりする可能性があったらって心配だったけど、その可能性はなさそうで。」
話を聞いたら、モヤモヤしていたものがスッキリした気持ちになった。
でも、極秘国家プロジェクトに選ばれた人というのが引っかかった。
ニュースを見ると世の中、物騒な事件が増えてきている。そう感じるのは、私のフィルターがそこをピックアップして取り込んでいる部分もあるのかもしれない。
日本についても、最近のニュースをみると心配になることもいっぱいあって、疑問に思うことも批判的に感じることもいっぱいあって、そんなことも原因かもしれない。
『考え過ぎるな!疲れちゃうぞ!』
自分に言い聞かせて、話題を切り替えた。
「そういえば、今度、一緒にみたいなって思っている映画があるんだけど…」
私は次に会う約束をした。
『やっぱり、こういう気分が沈みそうなときは近いうちで楽しみをつくる!それが大事!』
遠い日の楽しみの前に、近いうちの楽しみができたことで、少し明るい気分になって今日は寝ることにした。
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