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あの時のこと
結局、あまり眠れないまま朝になった。
ボーっとした頭で出かける準備をする。
『ま、友だちの家へ行って帰るだけだし、Tシャツに、Gパンでいっか。』
準備ができて、仕事場へ行く道と同じ方向の友だちの家へ向かった。
来たらすぐに出られるように玄関でスタンバイをしていたようで、ついてチャイムを鳴らすとすぐに友だちが出てきた。
その顔は少し前に会ったとは思えないくらいやつれていた。
目にも正気がなくて、体を気力で動かしているように見えた。
「かなり体調が悪そうだけど、横になってないで大丈夫?」
そう声をかけると、友だちは無言で一枚の封筒を差し出した。
そこの封筒にはちょっと弱々しい筆跡で文字が書いてあった。
〝今日はこれで。家で読んで“
何が書いてあるかはわからないけど、私はそれを読み無言でうなづき手紙をカバンへ入れた。
「わかった。しっかり休んで早く元気になってね。」
それだけ伝えて友だちの家を離れた。
『この手紙が体調が悪くても早く渡したかったもの?』
「何が書いてあるんだろう…。」
私は一言つぶやいて足早に自分の家へ向かった。
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