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そんな周りを観察していた時
「皆さん、突然で驚かれたと思いますが、少し協力していただきたいことがあって集まっていただきました。」
突然、マイクを通して50代くらいの男が話し始めた。きっちりしたスーツ姿でいかにもお役所の人といった感じだ。
「国家プロジェクトのためにこの場にいる方にはぜひ、実験に協力していただきたいと思っております。強制ではございませんので、医師の検査の際にその旨を申し出て頂ければ結構です。会場はこちらになります。」
話している男は腕全体で奥にあるドアを示した。
さっきまではいなかった白衣を着た人たちがいつの間にか、ドアを開けスタンバイしていた。
私はその時、思い起こしていた。最近の日本の政治家が目指している違和感のあった政策を。
ワクチンの過剰推進、マイナンバー制度、農業や酪農でなくコオロギ食の推進、改憲方向への流れ… そして、実際に作成されているムーンショット計画。
『何?国家プロジェクト⁇実験…怖いよお。でも今の憲法上、強制はできないよね。あー強制でなくて断われそうならよかった!絶対、断わる!!』
そんな決意を固めて、友だちに声をかけてみる。
「何か、テロとかではなさそうだけど、怖いよね突然!私は絶対、断る!!」
「うん。実際に何の実験かもわからないのはほんと、怖いよね。私も断るつもり。」
友だちも会場へ歩きながら不安いっぱいの顔で小声でそう答えた。
私たちの前に並んでいる人は60代くらいの白髪混じりの髪と少し煤けた服を着た女性だった。見た目から失礼ながら、暑くなってきて、朝から涼みにモールへ1人で来ているのではないかという印象を受ける。
その人も私たちと同じように不安そうな顔をして医師のいる部屋へ向かっていた。
医師の待つ部屋は全部で5つあるようだ。
この会場はショッピングモールなのにこの実験をすることを考えて作られたような造りに感じた。
しばらくボーっと色々なことを考えていたら、
数人が医師との問診が終わり、次の場所へと向かっていた。
『どんな話があったんだろう…』
出てくる人の表情も依然、不安と心配が入り混じっているが、時々そんな中にそんな表情に混じって少しだけ笑みを浮かべているような人もいた。
『断らずに実験に参加する人もいるのかな?』
「私たちの番、もうすぐだね。」
何だろうかと考えているうちに順番が近づいていたようで友だちにそう声をかけられた。
「そうだね。どっちが先に入る?」
「結局、先生と話して断るだけだし、私が先に入るよ。」
「うん、わかった。だったら私は次にする。」
そんな話し合いをしている間に前にいた女性が問診が終わった男性と交代で入っていった。
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