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そして、白衣の女性は、他からは優しく安心できるよう話しかけているように見えるかもしれないが、私は目だけみると笑っているように感じず怖さすら感じた。
「先生とお話をなさらずにお帰りいただくことはできないんですよ。」
『ダメだ。逃げられない。』
私は諦めたくないと思いながらも諦めざるを得なかった。
『会場にいる友だちも心配だし。なんたって、私の勝手な思い込みで本当のところはわからないし。』
もっともらしい言い訳を自分に作り、納得させて戻ることにした。
「わかりました。それなら短い時間で…」
広場に戻るとほとんどの人が終わっているようで出てきていた。
さっきまでの張り詰めたような空気はなくなり、元のいつもあるようなモールの賑やかな雰囲気になっていた。
並んで周りを観察していたときにかわいいなと感じた同じ歳くらいの女性も笑顔で一緒にいた仲間と話をしている。
友だちの姿を探してみたがまだ来ていなかった。
『みんな緊張していただけで、思い過ごしだったのかもしれない。』
そう思いながら会場へ戻った。
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