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国家プロジェクト
「次の方どうぞ」
私は終わった後の広場の様子を見て、少し安心しながら部屋へ入った。
部屋の中の医師は思っていたより若く、優しそうだった。
「では、国家プロジェクトについてまず説明させていただきますね。」
声も穏やかでむしろ心地よく感じられた。
話を聞く限り、この国家プロジェクトは極秘に進められているもので実験というのは腕によるマイクロチップ埋め込みらしい。大きな手術が必要なのかと思ったが、少し太めの…輸血するくらいの針を刺して入れ込むだけの簡単なものだと説明があった。
将来的にはそのチップで個人情報がわかったり、何も持たずに買い物ができるようにしていきたいと思っているらしい。
今回はその前段階で、埋め込みをして問題がないかを調査したいという話。
もちろん、協力したら協力金として、100万円をもらうことができる。
私は一通り聞いて、私たちの列の前にいた女性が声を上げた理由は協力金だったのかな?と思った。
『確かにお金がもらえるならリスクはあるかもしれないけど、協力する人もいるのかもなー。』
でも、私はそこまでお金に困ってないし、一次治験は終わってるっていってもやっぱり怖い。
「すみません。私は実験には参加しません。」
「そうですか。大丈夫ですよ、強制ではありませんので…」
『先生の声、私やっぱり好きかも耳に心地よく響く感じ……』
「ただし、これは極秘の国家プロジェクトです。ここから出たら絶対に話をしてはいけませんよ。もし、他の人に話をしたら大変なことになりますから。」
「はい。大丈夫です。約束は守ります。」
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