何事もなかった

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何事もなかった

「ご協力ありがとうございました」 広場へ出ようとしたときに、黒服の女性にそう声をかけられた。 『協力しなかったんだけどな…。ごめんなさい。』 「手首のバンドを外しますね。」 そう言うと、私の右手についていたリストバンドをハサミで切ってくれた。 『そうだった。会場へ入る前に1人ずつにつけられていたんだっけ…。緊張してて、忘れてたわ。』 本当に開放された気分になって、広場に目を向け、一緒に来ていた友だちを探す。 『いた!!』 携帯電話をいじって時間を潰していたみたいだ。表情は部屋から出てきたときとは大違いで、モールへ行く前の待ち合わせをしているときと同じようにむしろ携帯電話をみながら少し笑っている。 「ごめんね。遅くなって。」 私は側に行き、そう声をかけた。 それから私たちは何事もなかったように、お腹空いたとお店でご飯をたべながら沢山の話をして、服を選ぶぞと服屋へ行って友だちにアドバイスを受けながら選んだりして過ごした。 周りの人たちも何事もなかったかのように時間が流れ出していた。 今までと変わらないショッピングモールでの過ごし方を…。
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