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 そして言葉の意味を咀嚼すると、慌てて首を横に振った。 「え、そ、村長……?わ、私が……?え?ええ?……その、褒めてもらって嬉しいけれど、そんなの無理だわ……だって、選挙資金もないし。それに、主人も絶対反対するわ。村の人達だって女性がトップになることをきっと面白く思わない」 「時代は変わっています。この村でも若い人の割合が増えている。それは先日、反対派を押しのけて土蜘蛛討伐隊が編成されたことにも通じます。若い人の支持を集めれば、あなたは必ず当選します。必ずです」 「い、いやいや。でも………」 「いいじゃない、お母さん。やってみたら?お母さんならきっと出来るよ」 「何言うの、灯里まで……!そんな簡単なことじゃないのよ」 「でも、私も……私は出て行く身だけど、鎮守の杜が大好きだから。守ってくれる人が村のリーダーになってくれたらなって言うのがあって。多分……今の野嶋村長が辞めても、太一が後を継いだら、ダム推進を勧めると思うの。太一は心根は悪い子じゃない……けど、でも、そこは譲らなそうだから。だから、自然を心から愛してる人に、この森を守って欲しい……!」  帰ってくる場所のため、ゲートにするため必要だからじゃなくて。  愛する自然を守るために。この美しい景観をそのまま永続させていくために。  その気持ちを分かる人、美しさを理解できる人がトップに立ってほしい……。
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