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 灯里の気持ちが痛いほど伝わり、基子は言葉を詰まらせた。  けれどすぐに首を縦に振れるような簡単な話ではない。 「あなたほどこの村の自然を愛し、理解している村人は他にいません。出馬して頂ければ、必ず当選出来るよう私も協力して波動を高めます。あなたがこの土地を愛しているのと同様に、この土地もあなたを愛している。その絆は確かな縁を育みます。そういった意味でも、あなたはこの土地を、村を発展させるために一番必要で、最適な人物なのです」 「………気持ちは分かるわ。そうしたい気持ち、自然を護って行きたい気持ちは確かにあるのよ。でも」 「御主人の協力が必要ならば、私がそのように操作しておきます。ご主人の脳には直接指示が送れるよう回路が出来ていますので。あなたの邪魔はさせません。わたし達は遠くに行きますが、異世界に行く訳ではない。遠隔透視して、あなたの人生をサポートします。だから何も憂えることはない」 「………うーん……じゃあ、いろいろ落ち着いて、その気になれば。でも、今は無理よ。そんな覚悟なんかすぐには出来ないわ。約束も無理よ」 「今はそれで大丈夫です。その時になるまでに、心の準備も整います。あなたはあなたのままでいれば、それでいい」 「……はあ、それで。じゃあ、はい。分かりました。今は覚悟しなくていいのね?流れに任せていればいいのね?」
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