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「……では、お嬢さんを戴きます。幸せな人生となるかは分かりません。けれどハッキリ言えることは、私は生涯彼女を愛し続けます。………何があろうとも、絶対に、大切にします」
「ふつつかな娘ですが、よろしくお願いします」
基子に頭を下げた後、亜蓮はヒト型の頭を、土蜘蛛の頭の中に引っ込めた。
ずらりと並んだ八つの碧眼が光り、全身を覆う銀色の毛がそば立つ。
靄が白光を放ったと思うとすぐに、二人の姿はその場から掻き消えた。
残された基子は胸を抑え、その場に頽れて、それから祭壇に向き直り、懸命に祈りを捧げた。
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