3-20

12/12
前へ
/455ページ
次へ
「……では、お嬢さんを戴きます。幸せな人生となるかは分かりません。けれどハッキリ言えることは、私は生涯彼女を愛し続けます。………何があろうとも、絶対に、大切にします」 「ふつつかな娘ですが、よろしくお願いします」  基子に頭を下げた後、亜蓮はヒト型の頭を、土蜘蛛の頭の中に引っ込めた。  ずらりと並んだ八つの碧眼が光り、全身を覆う銀色の毛がそば立つ。    靄が白光を放ったと思うとすぐに、二人の姿はその場から掻き消えた。  残された基子は胸を抑え、その場に頽れて、それから祭壇に向き直り、懸命に祈りを捧げた。
/455ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加