§4 いけない火遊び

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§4 いけない火遊び

 まさかこのわたしが浮気するとは思いもせず、狼狽(ろうばい)しながら帰ろうとすると、 「まだ夜中だよ!やってしまった事は仕方がないから、朝まで一緒にいよう!こっちへおいで!」と引き留められた。雷太の言うのも道理だと思い、彼のやさしさにもう少し甘えてみようという気になった。そして、かつて雷太と(たわむ)れてしたように、彼の股の間に背中を向けて滑り込んだ。ただ当時と違うのは二人とも裸だという事で、お腹の(ふく)らみは昔と同じクッションのような感触だった。彼の大きな身体に包まれている安心感の中、雷太の手はわたしの胸をやさしく揉んでいた。 「シオリンのおっぱい、昔と同じだね!柔らかくて弾力があって、旦那さんがうらやましいな」 「もう歳だから、垂れてきてるよ!夫はそんな風にしてくれないし、わたしは欲求不満なの」  わたしはつい本音を漏らしていたが、同時に夫の顔が浮かんできて良心がとがめた。 「シオリンともう一度したい!駄目かな?一回も二回も変わらないよね」 「今は意識がちゃんとしてるし、駄目に決まってるでしょ!それと、さっきはゴムを着けてたの?」 「いや、シオリンが上になって腰を激しく振るから、そのまま出した。でも、半分ぐらいしか入らなかったし、大丈夫のような気がする」と雷太の無責任な回答に(あき)れたが、その自慢の物の大きさには興味があった。 「じゃあさ、口でして上げようか?あんまりした事がなくて、うまくはないけど」  その申し出を雷太が断る理由はなく、わたしは身体の向きを変えて顔を彼の股間に移した。目の当たりにしたそれは既に膨張しつつあり、その大きさに唖然(あぜん)とさせられた。太くたくましいそれは杉の大木のようで、股間にがっちりと根を生やしていて、わたしの片手ではとても納まり切らない代物だった。 「シオリン、おれの物を見るのは初めてか?あの時は触ってくれたけど、見るのを怖がってたよな」 「そうだけど、見てたら卒倒してたわ!何これ、大き過ぎだよ!わたしの知っている限りでは、今までに見た事もない巨根だわ。経験の少ない女子は、私も含めて受け入れられないと思うよ」と率直な感想を正直に述べると、雷太は意気消沈してあそこも勢いを失って(しぼ)んできた。わたしは言い過ぎたと思い、慰めるつもりで両手を使って彼の物を包み込むと、それは再び熱く脈打ち始めた。 「また元気になってきたヨ!口に入れるのはあごが外れそうだけど、どうして欲しいの?」という質問に、彼は遠慮なく舌での愛撫を求めてきた。全体をなめ回した後でくびれを刺激すると、彼は雄叫(おたけ)びを上げて悦びを表していた。わたしのこれまでの性交渉では、男の人を悦ばせる行為を()えてして来なかったが、彼の高ぶりを垣間見(かいまみ)て、奉仕する事による満ち足りた気分を味わった。 続けて先端の鈴の部分に舌を入れると、 「わおー、もうだめ!勘弁して!」と彼は女の子がいくときのような言葉を発していた。それに応えるように、わたしが大きな口を開けて彼の物をくわえ込んだ瞬間、口の中にどろどろの液体が放出された。口を半開きにして呑み込むのを躊躇(ちゅうちょ)していると、彼が自身の口で(ぬぐ)ってくれた。 「最高に気持ち良かったよ。ありがとう!今度はおれの番」と言って、わたしの股間への愛撫を開始した。指や舌を巧みに駆使した性戯は、わたしを性的快感に導いていった。特に太い二本の指が穴に挿し込まれ、内部粘膜を刺激された時には絶頂に達していた。実物を挿入された時よりも刺激的で、今までにない幸福感に身体がしびれていた。そして、彼の大きな身体に包まれながら朝を迎えた。  わたしが目を覚ますと、雷太は服を着てソファーに座っていた。 「起きた?おれたち、やばいよね。おれは公務員で旦那さんは検事だし、ばれたらどうなるかな?」 「逮捕されるかもね!姦通罪で」とからかうと、彼は真剣な顔をして悩んでいた。 「でもさ、こういう場合は女性の方が厳しく罰せられるんだよ」となだめ、何事もなかったようにホテルを後にした。危険な火遊びを後悔し、もう雷太とは会う事はないだろうと思った。  その晩、出張から帰って来た夫は、何も疑う事なくわたしを求めた。月に一度の性交渉の日で、忘れていた訳ではなかったが、ばれないように淡々と事を成した。  妊娠が発覚したのは、それから三カ月後の事だった。
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