(2)童貞卒業

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(2)童貞卒業

 汐梨と初めてセックスしたのは、それから3カ月後の事だった。  初めてのキスをしてから彼女との仲はより親密になり、キスをするために会っていたと言っても過言ではなかった。単に唇を触れ合うピュアなキスから、舌を絡め合って唾液を交換し合ったり、口の中や歯茎をなめ回したりというディープなキスへとどんどん過熱していった。彼女が俺の家に来るのも当たり前になっていて、自然の成り行きで結ばれてもおかしくない状況だった。しかし、根性なしの俺は、抱き合って身体を接触させるのが精一杯で、その先へと中々進めなかった。それでもキスをしながら隙を見て彼女の胸の感触を確かめてみたり、背中のブラジャーの線をなぞってみたりして満足していた。 「わたしのおっぱいに浩市の手が触れるんだけど、触りたいの?いいよ、触っても!」 彼女はあっけらかんとして、お墨付きをもらったのにためらっている俺の手を取って胸に導いてくれた。そこはイメージ通りの手ごたえで、柔らかいだけでなく弾力があって俺の五感を揺るがせた。一度一線を越えるとキス同様にエスカレートしていき、服の上からのタッチはいつしかブラジャーの上からになり、直に触れて乳首をいじるまでにそう時間は掛からなかった。一方の彼女も積極的で、胸に触られて悦んでいたかと思うと、その見返りに俺の股間に触れる事を望んだ。その大きさを確かめるように全体を手の平で覆い、その形を確かめるように指でなぞるのがお決まりのコースになった。もう後はなく、俺たちは最後の一線を越えるだけの関係にあった。 冬休みに入ってすぐ、汐梨が俺の部屋に泊まりに来た。いよいよこの日がやって来たと思い、学んだ知識を総動員させながら頭の中で段取りを確認していた。食事をしていても落ち着かず、汐梨もどこか無口のまま時間だけが経っていった。 「ねえ、しようか!」と先に言い出したのは汐梨だった。俺は面目ないという思いから、 「おれ、初めてでどうしていいか分かんなくて!」と正直に打ち明けた。すると、汐梨は、 「わたしは一度だけ経験があるけど、初めての女の子が良かった?」と伺いを立ててきた。 「恋人がいたならそういう事はあるだろうし、それは別に気にしてないよ!」 「恋人という訳じゃなかったけど、成り行きで一度だけだよ。でも、よく覚えてないんだ」  これ以上責めるのは得策ではないと思い、彼女を抱き寄せてキスをした。処女であって欲しかったという思いの反面、経験済みだと聞いて少し気持ちが楽になった。いつものようにキスをしながら胸への愛撫に移ると、汐梨は俺の股間に手をやり、「すごく硬くなってるよ」と感想をもらした。 自分自分で服を脱ぎ、下着だけになってベッドへ向かった。彼女の淡いブルーの下着姿をちらっと横目で見て、欲情した俺のボクサーパンツははち切れんばかりになっていた。用意したコンドームを装着し、ベッドに仰向けに横たわる彼女の上に重なった。とにかく挿入する事に夢中で、彼女の下着をどう脱がしたのかは覚えていなかった。また、裸の彼女をゆっくりと視る余裕も、やさしく愛撫する余裕もなく、冬だというのに汗びっしょりで必死に入れようと努めたが、中々マニュアル通りにはいかなかった。彼女は脚を広げたままの姿勢で耐えているようだったが、 「あの、そこじゃないよ!もっと上みたい。焦らなくていいから!」と(ごう)を煮やしていた。そして、俺の物に手を添えて入口付近に案内し、 「ここだよ!そのまま入って来て!うんそう、あ、痛い!でも大丈夫だから、そのまま来て!」と手助けをしてくれた。温かな粘膜に包まれながら奥へ奥へと侵入していき、腰を振ってさらなる快感を追い求めた。  数分後には頂点に達してお互いに後処理をしていると、 「わたし、痛かったし、出血してるみたい」と汐梨がつぶやいた。 「えー?処女だったの?それじゃ、経験があるって言うのは、違っていたの?」と問い質すと、 「その時、わたしは気を失っていて、その彼が先っぽだけだと言っていたような気がする。だから、経験はあるには違いないけど、もしかして処女膜が残っていたのかも」とはにかんでいた。俺はなぜか嬉しくなって彼女を抱き締め、その日は朝まで飽く事のないセックスに明け暮れた。
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