(2)恋愛の実践

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(2)恋愛の実践

7月25日 留学先のパーティーで知り合ったマイケルに誘われ、オークランドの街に二人で出掛けた。彼は私と同じ18歳の大学生だが、エスコートが上手で心地良い気分にさせてくれた。さっと手をつないだり、何気なく肩を抱いたり、違和感のない自然な振る舞いに、引込み思案な私でさえも大胆になっていた。 港の夕焼けを見ながら郷愁に駆られている私に、 「どうしてそんなに寂しそうな顔をしているのか」と英語で訊かれ、「里心」をつたない語学力を駆使して説明し、離ればなれの恋人と会えない寂しさも正直に伝えた。彼は私の腰にそっと手を廻し、 「僕が寂しさを忘れさせて上げる。NZにいる間は、僕が朱里の恋人だ」というような事を言っていた。私はその真意が理解できずボーっとしていると、私の腰を引き寄せて髪に唇を当てた。その唇はおでこへ、ほおに降りて来て、しまいに私の唇に停まった。それはやさしい爽やかなキスで、私の心は癒された。  8月8日  マイケルの家に遊びに行き、私はそこでいたって当然のように彼と関係を持った。人生で二回目のセックスは、ロマンチックでメローな雰囲気の中、忘我の一時に導かれた。  彼との距離はどんどん縮まり、情熱的なキスをされる度、かつての恋人は過去になっていった。控え目だった私はどんどん大胆になり、自分でも信じられないくらいだった。  彼の部屋に入るや否や、身も心もとろけるような甘いキスをされ、私はいつの間にか服を脱がされていた。裸の彼に組み敷かれ、念入りなペッティングに身を委ねた。一通り済ませた彼が、「ちょっと見て!」と言った先には、初めて見る男性器がすぐそこにあった。それは長いウインナーのようで意気揚々と反り返っていたが、さほど怖いという感覚はなく、どちらかというと陰毛もないそれを愛らしく感じた。反対に彼は、私の柔らかな陰毛が珍しいらしく、盛んにいじったりなめたりしていた。その間、 「アカリ、カワイイ、スキ」と教えた日本語を連呼していた。  いよいよ挿入という時、あの長い棒を受け入れられるのかという不安が過ったが、あれで子宮の奥まで突かれたら、どんなだろうという好奇心の方が勝った。初めて濡れるという感覚を知ったあそこに、彼は意外とすんなりと入って来た。少しの痛みはあったが、我慢するほどの事もなく入口を通過し、奥へ奥へと侵入してくるのが分かった。彼の動きはしなやかで、私の内臓をかき回しながら子宮の入口にまで達した。前と同じように満腹感を覚えたが、突かれる度に背筋に電流が走るようで、知らぬ間に意識が遠退いていた。  夢の世界から目覚めると行為は終わっていて、彼は子どもをあやすように私の身体を撫でていた。 「私、どうなったの?こんなの初めて!マイケルは慣れているけど、初体験はいつ?」と訊くと、 「15歳の時に、ガールフレンドと」と悪気もなく即答した。その後で私はどうかと訊かれ、1ヵ月前だと答えるとオーバーアクションでびっくりされた。そうやって何人もの女の子を悦ばしてきたのかと思うと癪に障ったが、それ以上追及するつもりはなかった。    私は異国の地で、自分の殻を破って生まれ変わった。許嫁を反故にして性に興じている姿を両親が知ったら、どんなに嘆き悲しむだろうと思ったが、もう自分を止める事はできない。
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