違和感

1/2
前へ
/3ページ
次へ

違和感

初めての会社に慣れてきた、5月の穏やかな夜の7時半。通勤電車に乗りながら、今日帰ってからすることを考える。まずは、ひかりにおすすめ聞いて夜ご飯を食べ、風呂に入ってから持ち帰った仕事をする。まあ、いつもと変わらない日常だ。  ちなみに、ひかりは俺が20万程で買ったアンドロイド新型で、ミルクティー色のボブヘアにルビー色の瞳を持つ特注品だ。なぜ俺が特注品を頼めるかって?それは、俺がアンドロイド開発部に勤務しているからだ。前には試供品も預かりテストしていたが、ひかりが遠回しに小さな意地悪をするため、すぐに試供品をやめた。  家に帰ると、ひかりが出迎える。  「ご主人様、おかえりなさいませ。夕食は、ご主人様の好物のオムライスでございます」 とメイド服を着て微笑みを浮かべながら言う。俺は一瞬固まったが、思考を取り戻し苦笑いを浮かべ訂正する。  「俺は谷口賢也だし、ひかりはメイド服なんて着ないし、言葉も態度もラフだろ?どういう風の吹き回しだ?」  「うぅー、バレたか…賢也にドッキリ仕掛けようとしたんだけど、もっと違うのにすればよかったー!」 不機嫌な顔で、ドッキリ大失敗を宣言する。いや、俺はメイド服でびっくり(一応言っとくが喜びも)しないし、好物はオムライスじゃないから。好物親子丼だし。嘘の好物のチョイスが卵料理ではあるのがちょっとイラっとくるな。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加