★イベント 夏祭りの後……

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 夜空に咲く大きな光の華。  この事務所は高いビルではないものの、遮る建物は意外にもなかった。  盛大に咲いた後、パラパラと光の花びらが儚く消えていく。  屋上の手擦りに身を預け、便利屋はビールを片手にそれを見る。  もう片方の手で頬を擦りながら。 「ぃだだぁ……」 「ごめんってば」  隣にいた帰蝶は肩を竦めて謝罪をしたが、本気で反省しているようには見えなかった。  が、このくらいで怒っていたら、彼女と友人ではいられない。  便利屋は、「いいよ」と小さく息を吐き、苦笑した。  また大きな赤い華。 「来年は秋品全員とここで花火見るか」 「聖ちゃんも呼ぼ~」 「だから、ちゃん付けは……」 「明日、スケジュールは私が訊いとくから。来年の夏空けといてって」 「今から⁉ しかも、それだと決定事項だし!」 「だって、一緒に見たいじゃん」  楽しそうな彼女に諦めて、便利屋も苦笑する。 「もう一本、ビール取ってくる」 「私が行くわ。ラムネも一緒に持ってくる」  ふわっと九つの巻き毛が揺れる。  それが花火の光からか、金色のそれに見えた。  しなやかな身体が、美しい横顔が、一瞬見知らぬ者に思えて。
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