★イベント 夏祭りの後……

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「帰蝶」 「ん?」  振り返った彼女は、出会った時のまま。 『ねぇ、私も仲間に入れてくれない?』  その時は、便利屋にとって大人の女性に感じた彼女。  しかし、今は同い年くらい。  いや、時に少女のようにも見える。  彼女の本名も、過去も、本当の姿も、便利屋は知らない。 「俺のキャビネの中につまみもある」 「やるぅ!」 「ちょっ! 足元気を付けろよ?」 「だいじょぉぶ」  下駄を履いてるはずなのに、そんなことを感じさせないほど軽い足取りで、帰蝶は階段を下りて行った。  遠ざかっていく足音に寂しさを感じてしまう。  背後では花火が美しく咲いては、またゆっくり消えていく。  まるで彼女のよう……  いや、ここが、秋品がある限り、彼女も、他のメンバー達も猫達も、そして自分も、存在し続ける。  夜空が明るくなる。  轟く打ち上げ音と漣のような人々の歓声。 「来年も、な」  便利屋はまた花火に――現実に向き直ったのだった。 ~★イベント 夏祭りの後…… 終わり~
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