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最後まで結婚には反対だった。
けれど、美知が幸せになってくれるのなら、それでいいかとも思ったのだ。
しかし、美和が願うほど美知は幸せそうには見えなかった。
田代と別れて実家に戻ってきてほしい。
美和が何度言っても、美知は首を縦に振らなかった。
美知が結婚2年を迎えた頃、姉妹で温泉旅行に行った。
美知の裸は、美和が覚えていたものよりかなり痩せこけ、胸が変形していた。
目立つ怪我はなかったが、治りかけの痣のような痕を見た。
その日ニットで隠していた首元に、赤い手形がうっすら残るのも見逃さなかった。
それでも、美知は田代を悪く言わなかった。
代わりに
「あの人、夜が少し乱暴なだけよ。でも気にしないで、ホントに少しなの」
と彼を庇うように言った。
それなのに――
◇◆◇◆
――その日、美知から様子のおかしいメッセージが送られてきた。
≪美和、助けて。
しんどい。もう限界≫
返信しようとキーボードをフリックしたのとほぼ同時に、そのメッセージは送信が取り消された。
スクショも何も撮らなかったけれど、確かにその文章を目で見た。
その翌日、美知が自宅の一室で首を吊って亡くなっているのが見つかった。
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