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ヨスガの言葉に、ロイツは頷いた。
「ぼくも、連中はマパクとは別の組織だと思う」
ヨスガはロイツ見て、首をかしげた。
「なぜそう思う?」
「あいつら、これ以上、旺師軍に関わるなって言ってきたんだ。脅してきたって言ったほうがいいかな。ぼくは秘密に近づきすぎて、これ以上、秘密に近づかないよう監視してるんだって。ぼくを、殺すつもりもなかったっぽい」
ほう、とヨスガは目を細めた。
「それは、有力な情報じゃな。連中は旺師軍となにか関係があると?」
「それについては答えてくれなかったけど、間違いなく。――あと、ぼくを斬った相手は、ちょっと間抜けだった」
ああ、とセンリが声をあげた。
「それって、黒い頭巾をかぶった女の子?」
頷くとセンリとフリネは顔を見合わせて笑った。
「あの子、ツェパドゥブにもいたけど、たしかにちょっと、お間抜けさんだったね」
「ツェパドゥブ? もしかして獣市のとき、暴走した燈鹿を止めようとしてた?」
「そう。あのときもロイツくんのこと尾行してて、一人っぽかったから、ちょっと探りを入れてみたんだよ」
フリネが言って、センリがくすりと笑った。
「あの子、けっこう顔に出るタイプっぽくってさ。身のこなしとか、武術には長けてそうだったけど、あれで監視とかちゃんとできてるのか、心配しちゃった」
「敵を心配してどうすんだよ」
フリネがすかさずツッコミをいれ、センリは苦笑した。
「なんにしても、ずっと沈黙していたやつらがロイツと接触し、自分たちの目的を明かした以上、連中の動きは苛烈してくる可能性は高い。少し、警戒を強めたほうがよいかもしれんな。煌倭に応援を頼むことも視野に入れておいたほうがよいだろう」
ヨスガの言葉に、ユキカ、センリ、フリネは深く頷いた。
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