美春(7)

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美春(7)

 病室で目覚めるまでに私は、空からの連絡ですべてを知らされていた。  ミハルは急に私が抜けたから倒れただけで、もう元気だと聞きほっとした。  勢いで助けた彼女の体に入ってしまったのは、私にとってうれしい誤算だった。  これで諒ちゃんと話せるんだと思うと心が踊る。  けれど、事故のせいで魂が形を保てなくなってきているらしく、お盆の終わりでなく今日中に空に戻らなければいけないという。  十二時の鐘が鳴り終わる前に空に戻らなきゃいけないなんて、ちょっとシンデレラみたいって思ってしまったことは、諒ちゃんには秘密にしておきたい。  彼女を助けたことで、ご褒美がもらえそうなことを先に聞いていたから、ちょっと心が浮かれていたのもある。  彼女は死んではいけない人だったらしく、それを 助けた私はかなりのご褒美がもらえそうなのだ。  思い切って希望を出したら、空に戻るころには連絡すると言い残し、空からの声がぷつりと途絶えた。  もし私の願いがかなったら、諒ちゃんとの再会がめちゃくちゃ早まる。  ドキドキする気持ちを抑えて、とにかく今日の時間を楽しもうと私は目を覚ましたのだ。
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