美春(1)

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美春(1)

 諒ちゃんったら、またかっこよくなってる。  モテモテなのにぜんぜん気づいていないところが、諒ちゃんらしくていいなって思う。  お盆は毎年ミハルの体を借りて一週間を過ごすと決めている。  諒ちゃんにぴったりくっついて離れないことにしてるから、私が来ていることに気づいてくれてるみたいだけど、まさか私のことが見えないなんて想像もしてなかった。  せっかく幽霊が見えるのに、お盆に戻ってきた里帰り御一行様たちは見えないなんて残念すぎる。  よくよく考えると、帰省中の空の住人は半端ない数なので、見えないほうが諒ちゃんにとっては幸せなのかもと思ったりする。  それでも、せっかく諒ちゃんに会うからとめいいっぱいおしゃれをしてきている私としては、何とか見てもらえる方法はないかなと考えてしまう。  同じく幽霊が見えるおばあちゃんには、ちゃんと私が見えてるようなのに、愛が足りないと思わずにはいられない。  戻るには思ったより時間がかかると伝えたくても、ミハルの体ではにゃーと鳴くことしかできないからもどかしい。
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