諒(4)

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諒(4)

 航空大学のカリキュラムは二年だが、待機期間を合わせて三年で航空会社への就職が決まった。  ミハルと住むためにペット可のアパートを探し、都会の家賃の高さに驚いた。  ミハルを引き取った春、市原の転勤が決まった。  ミハルと暮らせるようになるのを待っていたかのようなタイミングだった。  転勤をきっかけに結婚を決めた市原は、俺とミハルを結婚式に招待してくれた。  奥さんと幸せそうに笑いあう市原を見て、かなりうらやましくなった。  美春が今すぐ生まれ変わっても年の差は二十五だ。  いずれひとり残してこの世を去ると思うと、それで美春は幸せなのだろうかと心が揺らぐ。  そんなことを考えていると美春に怒られそうだなと気持ちを切り替えた。  美春が戻ってくるまでに人を乗せて飛べるようになるだろうか?  資格を取って就職しても、すぐにパイロットとして飛ばせてもらえるわけではない。  座学が一年、訓練で一年と合計約二年が過ぎて、ようやく副操縦士として飛ぶことができるのだ。    副操縦士になった春に家に招かれて、市原と二年ぶりに再会した。  やっと空を飛べるようになったと報告したら、自分のことのように喜んでくれた。
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