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名を呼ぶと、すぐ側の木に擬態していたエフティヒアがヒラリと飛んできてアイリスの肩に止まった。
「ひゃあっ!」
「驚かせてしまってごめんなさい。隠れるのがすごく上手な子で」
フローラが目を丸くして仰け反っている。音もなく急に登場するので、みんなによく驚かれてしまう。
「そっ、それがあなたの神鳥なの?」
「はい。エフティヒアって言うんです」
「へ、へぇ。わたくしはてっきり、カラドリオスとかフェニックスあたりが出てくるのかと思ったわ......タチヨタカって」
カラドリオスは病気を食べる白い鳥で、フェニックスは寿命を迎えると火に飛び込んで復活する不死鳥だ。そんなの会ったことも見た事もない。
エフティヒアがキョロキョロとあちこちを見回したり、羽根をモゾモゾさせたりして落ち着かない。
「エフティヒア落ち着いて。ここは昆虫が多いので食べるのを我慢するのが辛いみたいで」
花の神殿は草花が多いので昆虫も多いようだ。さすがにお呼ばれした人様の庭でパクパク食べさせる訳にはいかないので、我慢してもらってる。
「......良ければ好きなだけ食べてもらって構わないわよ」
「そうですか!? ありがとうございます。良かったわね」
アイリスがエフティヒアの背をひと撫でしてやると、ぐえぇーっと鳴いて嬉しそうに飛んで行った。フローラがゲンナリとした顔をして、ふぅ、と息を着く。
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