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「どこへ行こうとしていたのよ、それ」
「アルタからフローナへ行こうと思って、地図を見ながら歩いていたんですけど。そんなに道も複雑じゃないし」
「ま、待って、その距離を歩こうとしたの?」
「地図ではすごく近く見えたので」
「地図ではって、縮尺という物があるでしょ。普通、馬車に乗っていく距離よ」
「はい......。セフィロス様にも全く同じ事を言われました」
フローラは呆れを通り越して、哀れみの目でアイリスを見だした。
「そういう訳で、フローラ。ちょっとアイリスを連れ出してあげてちょうだい」
リアナが急な提案をフローラに持ちかけ始めた。
「え、何でわたくしが? セフィロス様がいらっしゃるではないですか」
「アイリス、セフィロスと一緒に花の都に連れてきてもらった時、どんな場所へ行ったんだったかしら?」
花の都と言うのはフローラの管轄地の首都だ。セフィロスに初めて連れ出してもらった時に案内してもらった。
「最初はプロネーシス図書館に連れて行ってもらいました」
「ああ、あそこは天界の中でも貴重な本が沢山あるものね。行って損は無いわ」
「それからガーネット通りの市場に行って……」
「市場って、どこの買い出しの主婦よ」
「天使たちのお土産に、鍬が壊れかけていたので農具屋さんに行きました」
「鍬ってあなた一体、なんの話してるのよ」
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