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「フローラ様、お待たせいたしました」
見るとそこには、フードを目深に被ったペールグリーンのローブを着た女性がいた。その隣にいるのは確か、風の守護天使のエレノアだ。
「アイリス様、それでは私はこれで一旦失礼しますね。時間になったらお迎えに参ります」
エレノアはフローラの方を向き、丁寧に礼をする。
「フローラ様、ご挨拶が遅れました。風の守護天使エレノアです。アイリス様をよろしくお願いします。と、セフィロス様から言付かっております」
「久しぶりね、エレノア。今日はわたくしがアイリスに花の都の魅力を存分に教えますわ」
「そのようにセフィロス様にお伝えしておきます。それでは失礼致します」
再び礼をすると、エレノアは去っていった。自分の守護天使ならともかく、わざわざ夫の守護天使に送り迎えしてもらうとは、余程不安がられているのだろう。
「さあアイリス、行きましょう」
何でこの夏の余韻が残る暑い日にフードを目深に被ってローブを着ているのか理解し難いけど、とりあえず気にせず行くことにした。
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