4. 花の都

2/16
前へ
/117ページ
次へ
「フローラ様、お待たせいたしました」  見るとそこには、フードを目深に被ったペールグリーンのローブを着た女性がいた。その隣にいるのは確か、風の守護天使のエレノアだ。 「アイリス様、それでは私はこれで一旦失礼しますね。時間になったらお迎えに参ります」  エレノアはフローラの方を向き、丁寧に礼をする。 「フローラ様、ご挨拶が遅れました。風の守護天使エレノアです。アイリス様をよろしくお願いします。と、セフィロス様から言付かっております」 「久しぶりね、エレノア。今日はわたくしがアイリスに花の都の魅力を存分に教えますわ」 「そのようにセフィロス様にお伝えしておきます。それでは失礼致します」  再び礼をすると、エレノアは去っていった。自分の守護天使ならともかく、わざわざ夫の守護天使に送り迎えしてもらうとは、余程不安がられているのだろう。 「さあアイリス、行きましょう」  何でこの夏の余韻が残る暑い日にフードを目深に被ってローブを着ているのか理解し難いけど、とりあえず気にせず行くことにした。  
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加